「意思決定の教科書」を読んで
ハーバード・ビジネス・レビュー意思決定論文ベスト10 意思決定の教科書 | ハーバード・ビジネス・レビュー編集部, DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 |本 | 通販 | Amazon
を読みました!
樫田さんのnoteで共有されていたので気になって買ってしまいました。
論文をもとに書かれた書籍で意思決定にまつわる10の論点について解説されています。気になったところを抜粋していきます。
人間の心理的な罠
アンカリングの罠
一つ前の問答にイメージ・意識を偏らせてしまう事。例えばトルコの人口を全く検討もつかない状態で「トルコの人口は3500万人以上でしょうか?」という質問の次に、「トルコの人口は何人でしょうか?」という質問をすると自然と3500万人前後で答えてしまう。
サンクコストの罠
状況が悪くなっているにもかかわらず、現状進めてきてしまっている計画や行動を止められないこと。対処法は過ちに大して敏感かつ正直になり、違和感を感じた時にすぐになぜ違和感を感じるか、現状の方向を修正する後ろめたさは何か、ということに真摯に向きあう。
フレーミングの罠
人は自分の能力を超える選択を迫られた時に、質問のデフォルト値を選んでしまう現象。例えば「脳死した時に臓器提供を行う人はチェックを入れてください」と「脳死した時に臓器提供行わない人はチェックを入れてください」だと結果が異なってくる。人は自然とチェックを入れない方に傾いてしまう。
これは選択肢を2つ提示した際の表現にも現れてくる。
A「1万円の封筒を手に入れる」
B「3分の1の確率で3万円の封筒・3分の2の確率で0円」
これを伝えると多くの人がリスクの少ないAを選択する。
しかし
A'「確実に1万円の損失をする」
B'「3分の1の確率で3万円失うけれども3分の2の確率で損失0になる」
おちう選択を迫られると人はB'を選択肢しまう。
行動経済学における意思決定者が自問すべき質問(抜粋)
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提案者自身が、その決定に惚れ込んでいるか
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提案チームの中に反対意見があったか
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数字の出どころがわかっているか
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ハロー効果が見られないか
なぜニアミスは見えなくなるのか
一番納得したの「結果バイアス」
人は一連の作業やプロジェクト全体に渡って、無視してはいけない・反省を行うべきミスがあったとしても結果が成功ならばそのミスを省みない(過小評価する)バイアスがかかる事。つまり「終わり良ければ全てよし」の悪い点となる。
トヨタのレクサスで速度超過が起きることも無視された。
またニアミスに対するオペレーションは医療業界が先進的であるとも書かれている。チームの中にニアミスを公開することに対して称賛する文化が形成されているならば、ニアミスの発見は早くなり、事が起きる前に対応できるだろう。
対話から新しい視点を得る
議論の構築
本書では議論を「意見を通す場とするのか」「意見を育てる場とするのか」で大きく2つに分けていた(本書の言葉を使うと「議論対比型」「ご意見番型」)
さらに議論対比型を推奨していた。
リーダーの言葉遣いやマネジメントにも言及されている。
私自身も自分の組織の中で「議論対比型」に持っていく方法を考える必要がある。一番うれしいのは全員が本書および意思決定・議論にまつわる書籍を手にとって、率先的主体的に議論に参加し、議論のルールを守りスムーズに促す事だ。
けれども個々人のバックグラウンドを考えるとそれも敵わない上、各々が共通の学びをえたとして能力や意志力には差が生じてしまう。
人間性の成長と多様性の許容・パラドクスへの理解が不可欠と感じた。以上この節は抽象的なまとめになってしまったが詳細なテクニックについては別所で。
集団思考の罠
チームプレイヤーとして認められたい・集団のいざこざを避けたいがためにチームの議論で最もらしい意見が出てくるや否や、それを決定事項としてしまう現象。
これの対応策は真似したいと思った。
それはリーダーが各個人の仕草、腕の組み方・ため息・視線・眉間のシワなどから不満意見を敏感に察知する事。
意思決定のRAPID
- Recommned(提案)
- Agreement(同意)
- Perform(実行)
- Input(助言)
- Decide(決定)
偏見の環境
誰しも偏見に囲まれているという論理にはおどろいた。
自分の偏見の度合いを測るIATというテストがある。やってみたところそんなに自分はなかった様子。
とある判事の話が偏見に陥らない上での重要アクションであると感じた。
この判事のいる裁判所は黒人の多い地域であったため、黒人に対して犯罪を犯しやすい人種というレッテルを貼りそうになっていた。そのため休日は白人の多い地域の裁判所に行き認知バイアスを修正するようにしていた。
戦略を決定する際のプロセス
データ→選択肢→意思決定